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    ・―□ B-CLUB 1/220 RX-78GP-01Fb ゼフィランサス フルバーニアン Ver.Ka.


1/220 フルバーニアン Ver. Ka.

[ 正面・左右側面・背面の4面写真 ]
MG 等のフルバーニアンと比べると、 フォルムやバランス、ディティール等 あらゆる点で全然違うとわかります。 元々キットがカトキ リファイン版なの だから当たり前のことですけれども。

側面は上体がそってますね。 レジンムクのブースタポッドの重量が 瞬着で固めた股関節の金属線軸に負荷 をかけてる?目視ではこの程度の傾き は気になりません。このサイズでは 概ね俯瞰視点になりますから…。
キット名: B-CLUB 1/220 SCALE RESIN CAST KIT RX-78GP-01Fb GUNDAM GP-01Fb
-FULL BURNERN- [Ver. Ka.]

[ 撮影機材 ]
デジタルスチルカメラ:
■● SONY Cybershot DSC-P10
防振: 三脚、セルフタイマー使用
光源: 室内蛍光灯、蛍光灯スタンド

室内蛍光灯で撮ると陰影が強く絵的にはアラが見えなくて調子いいですが、影色が暗く潰れてしまいます。

B-CLUB 1/220 レジンキャストキット RX-78GP-01Fb ゼフィランサス フルバーニアン Ver. Ka. がやっと完成しました。無改修のただの素組みではありますが僕にとっては(主にスチロール樹脂製)プラスティックモデル以外の模型を完成させたのは初めてのことだったのです、たぶん。キット内容はパーツ数 74点、あと頭部のアンテナは0.5oプラ板から自作です(この点が製作に入るまでのネックとなっていました)。材質は、ナイフがサクサク入り、欠け部へのパテの食いつきもよく、工作はラクチンです。プラモのようにいちいちパーツをすり合わせて接着剤を塗って組み立てる手間がなく、ムクで一体成型なのが楽なところです。ただ、組み立てに際してはダボのようなガイドがほとんどなく、接合すべき面も浮いてしまっていたりするので、適当にアタリを両面にけがいてピンバイスで穴を掘り、真鍮線(強度を要する箇所)やアルミ線(微調整を要する箇所)などの金属線によって接続する必要があります。僕は最近のガンプラだったら、スナップフィットの強力なダボを一部斜めカットしての仮組み作業なんて工程を踏まないダメダメ省力モデリングなので、自在に取り外しができる金属線接続で仕上げ前にだいたいの構成やフォルムが見られるというのは完成形をイメージする上でとても有益でした(接続線を長めの金属線に換えればへなちょこ棒代わりにもなりますし)。今回のフルバーニアンも仮組みによってガンプラでは得られないような遠慮無用のカトキっぷりに製作意欲が持続し完成に至りました(ガンプラの ver.Ka ガンダムは、デザイナーズブランドを全面に推し出したわりにはまとまってバランスのいいポップな折衷案的印象を受けましたけれども…)。




さり気な素立ちのさり気な斜めのショット。モノクロパッケージ写真から予想される塗りわけにほぼ準拠していますがビームサーベルグリップ以下の基部はグレイです。べつに気にはしませんけど。

カトキリファインというのは僕なりに解釈すると、独特のカトキ立ちと呼ばれるポージングにマッチする胴体四肢それぞれのバランスであったり、MS デザインにありがちな無意味なハッタリのきついテーパーを緩やかなテーパーにする等インダストリアルデザイン風な要素だったり、リファインで各パーツは四角くなっていくんだけど、パーツをアセンブルすると、精度を揃えた球状や円柱や曲面パーツとのブレンドでやわらかい印象すら受けます。

コイツのビームライフルがやたらと立派で、ひとまわり大きい GFF ゼフィランサスのビームライフルとちょうど同じくらいだったりするのがちと嬉しかったりする。シールドも充分大きく妙に厚くて妙に反って(仕様)いたり、小スケールモデル独特の装備品のサイズの充実度というのがある。1/100, 1/144 等のガンプラの場合それなりのセールスポイントにならないと装備品は雑なつくりになるか(たとえば遠慮のない肉抜きとか)、最悪の場合小さくなったりするんだよ、このおじさんの経験上。ビームライフルもアニメ作画上 MS 比で大きくなったり縮んだりするから文句も言えないけど、右手にグリップを握ってまっすぐ右腕を下方に降ろすとバレル先端の銃口が足首の付近にあれば素立ちにも射撃ポーズにも有効なビームライフルのサイズである。今回のフルバーニアンのビームライフルはちと長過ぎカモ!?


今回のこのフルバーニアンキットのイメージソースは、河森正治御大の有機的ラインで立体的整合性の取れない(今見ると笑える)設定画稿などではなく、OVA 「機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」の劇中のイメージでもなく、無論バンダイの優秀キットであるゼフィランサス陸戦用にエッジのダルい増加パーツをかぶせたチグハグなフルバーニアンでもなく、「機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光」劇場版パンフや B-CLUB でグラビアに描かれたカトキハジメの手になる全面カトキラインで整理されたフルバーニアンだったようです(ガンプラ史上初の絶版キットとなった (*) 1/144 HG ガンダム のインスト(挿絵:カトキハジメ)のリファイン版リックドムみたいな存在ですね)。僕は劇場版のパンフとカトキ版フルバーニアンが表紙の B-CLUB と、それらを参考にモデルグラフィックス誌の旧キット改造作例として発表されたカトキ版フルバーニアンしか見ていませんが、今回のさらにピーキーなカトキ風味のレジンキャストキットがオレを物欲の獣の目に変えたのでした。

(*) ガンプラは初期の 1/144 ガンダムシリーズから始まって、同アイテム同スケールでより高機能/高品位な新製品が発売されても、それ以前のすべてのガンプラを長いスパンである程度の量を生産しているといわれています。模型店の店頭にいまだに並んでいる旧製品たちは決して昔の売れ残りというわけではなく、現在も少量ながら流通し、それなりに捌けているというのです。プラモデルをつくる金型というのは製品を生産し利益を生む財産ですから保有しているだけでたいへんな税金がかかる筈です。大方のメーカーならば『欲しがっていた人たちには初期生産でほぼゆき渡ったから再生産しても利益が薄い』として生産完了とすることがままあるのですが、そう考えるとバンダイはスゴイですよね。1/144 HG ガンダムはべつに 1/144 HGUC ガンダムという新標準の後継機が出たから絶版になったのではなくてパズルのような多色一体成型スライド金型の傷みが激しい為だそうです。たとえばガンダムのボディ前部 1パーツに青、赤、黄色の成型色のプラが組みあがった状態でランナーにつながっているという豪快な成型だったのです。このシステムインジェクションは「機動戦士Vガンダム」の頃まで一部使われたようですが、塗装するユーザーにはまったく益が無い上に、生産に金ばかりかかる多色スライド金型は廃れ、各色毎にパーツ分割した現在の色プラの隆盛となりました。


このキットが正確な縮尺に基づいているかは計測していないのでわかりませんが、1/220 というのは伊達ではなくとても小さいスケールでした。MS IN ACTION!! や GUNDAM FIX FIGURATION などお馴染みのアクションフィギュアよりもひとまわり小さいです。頭部はムクの 1パーツ構成で、僕の技量ではマスクと分割したりはできませんので、メットのひさしの下から目のクリアグリーン、隈取の赤、そしてエナメルブラックでスミ入れを施すのですが、肉眼で可能な限界の作業でした。GFF のような一定量生産される MS、とくにガンダム顔なんかはどうやってああもシャープな目を入れることができるのだろうかと感心せずにはおれません。今回久々にハンドピースを使ったのですが、下地のグレイサフの上に白色を発色させるほど何度も吹くとモールドが埋まってしまいます。結局全部いわゆるラッカー系シンナーで洗い流しての再挑戦となります。念の為サフはホワイトサフを使い、Mr.カラーのホワイトを薄く薄く吹いていきますがそれでも一部厚塗りになってしまいました…トホホ。感覚がつかめてないのにリハビリ無しでいきなり頭部から塗装していった僕はバカですが、ガンプラモデラーなら頭からつくりませんか?人形は顔が命といいますが MS もまたそうなのです。もっとも心血を注ぐところであり、どうしても気に入った顔にならなければ即押入れに直行というケースも往々にしてあることです。ヒコーキモデラーにとってはコクピットの工作が命らしいのですが。

ラッキーストライクとの比較


GFF ゼフィランサスとの比較

6月の日記にも書きましたが、今回のフルバーニアンはアニメ版フルバーニアンの MSZ-006 もどきではなく、ゼフィランサス陸戦用と同様 RX-78-2 のカラーリングにしています。塗料は GSIクレオスのいわゆるラッカー系の Mr.カラー、基本的に光沢です。エナメルカラーでスミ入れする際につや消し面だと滲んで取れなくなってしまう危険があるし、デカールを貼るにもつや消し面だと気泡が入って白くなってしまう危険があるからです。仕上げは缶入りつや消しクリアを吹きます。
■うろおぼえの塗料の調合比です。写真は光源などによって色合いがまちまちですが。
白 : [1] ホワイト 100%
青 : [1] ホワイト 約70% + [80] コバルトブルー 約30% + [47] クリアーレッド 少量
赤 : [1] ホワイト 約40% + [47] クリアーレッド 約60%
黄 : [1] ホワイト 約30% + [58] 黄橙色 約70% ( + [47] クリアーレッド 少量 )
緑 : [138] クリアーグリーン 100%
灰 : [61] 焼鉄色 適量 + [101] スモークグレー 適量 + [305] グレーFS36118 適量

模型の本を読み返していたら『赤色を暗くしていくにはクリアーレッドを足していく』といった記述をみつけて少なからずショックを受けました。あー、あんなにたくさん白を混ぜたのに暗い赤になってしまったのは普通の赤を買いにいくのを横着して手元の混色用のクリアーレッドを使ったから、ということらしいのです。ものを知らないというのはそれだけ多くの危険に遭遇するということなのだなあ、と思いました。教訓教訓、赤いところは赤で塗ろう。



僕はガンプラのようなフル可動、完全変形モデルでもトイのようにガチャガチャ遊んだりしない方なので「これしかないだろ!」ってなポージングや形態があればそのままそっとしておいて眺めてます。無変形ガンダム系では素立ち以外にポーズをつける気がしませんし、ゼータならウェイブライダー、イクスェスならGクルーザーにしてしまうともう元に戻す気がしません。といって無変形モデルが欲しいのではなくて完全変形する確証を得た上で、もっとも美しいかたちに変形させ、その美しい機体が人型 MS にも変形し得るというポテンシャルを秘めていることに悦楽を感じるのです。まあ変形モデルの嗜好は置いといて、今回の実質無可動(若干ポージングを変えて組むことは可能)な 1/220 フルバーニアンですが、関節ギミックを組まないで済むのだから楽なものです。で、どんなポーズにするかですが、パッケージの青色モノトーン完成品写真では、ひざを曲げて足を開いて飛行ポーズっぽく、両ひじを若干曲げて右手のビームライフルを上げ左手のシールドを設定通りにマウントして下向けにセットしています。フルバーニアンはゼフィランサスの空間戦闘仕様ですから飛行ポーズはごく自然でしょう。ビームライフルも少し上げると表情が出てくるでしょう。最大のネックはシールドが肩部の突き出たバーニア群パーツに干渉する(てゆうかむしろ逆?)ことで、ジムカスタムのシールドのように上端切り欠き部の横棒が無ければ RX-78-2 系の素立ち同様に位置できるのですが、キットのパッケージ写真ではシールドを前から見てやや裏向けにセットし、さらにひじを曲げることで干渉を回避しています。さて、じゃあ自分はどうつくるか。飛行ポーズではディスプレイスタンド(つーか棒)が要ります。GFF のイクスェスのようにブースターが重すぎて自立できない場合はともかく(アレはアレでつま先をのばせるのでカッコイイ…)スタンドの使用は本意ではありませんし、重心位置付近を貫いてかつ目立たない部分を探すのも虚しく思えます。やはり現実的かつ自分の嗜好に合致する素立ちポーズで完成させることに迷いはありませんでした。




上半身がちょっと反り返っている気はしますが、さり気な素立ちのさり気な左斜めのショット。パッケージ写真のように前腕外側(ひじ側)のラッチという定位置にではなく GFF ゼフィランサスのシールド基部のようなアタッチメントパーツがあれば…自作?工作スキルも根性も赤点なのでムリムリ…流用?大きすぎるしアタッチメント自体厚いし。というわけで下の記述とカブるが『左前腕左側面にピンバイスで穴を開けてシールド裏側のマウント部と金属線で接合する』という最も安易な方法をチョイス。実際には薄型改良されたアタッチメントがシールドについてるか、左前腕左側面にヒミツのマウントラッチが増設されていたかと思われます。
シールドのデザインですが、リリース中当時のモデルグラフィックス誌においてフルバーニアンの旧キット(無論 HGUC などというシリーズはまだ存在していない)のカトキ版への改造作例がありましたが、カトキ版用も含めてゼフィランサス作例のシールドは模型ライター毎に好みでいろいろ違うカタチをしていました。今回のフルバーニアンキットのものも見たことがないカタチで配色に悩みましたがとにかくパッケージ写真をよくよく見て決めました。アクセントに "ZERO GRAVITY" といった楕円デカールも貼りました。一応メインバーニアノズル以外の全パーツはつや消しクリアを吹いていますが、それでもシールドだけは比較的キレイに仕上がったので新品のように見えます。もちろんシールドは数度被弾し欠損等すれば新品に取り替える筈で、さほど異常な状態ではありません。逆に帰艦したときに主にシールドがボロボロに被弾しているというケースもありますが、次ソーティでは新品のシールドを携行するわけです。


問題はやはりシールドの装着です。パーツには前腕部外側に台形のくぼんだラッチがあり、パッケージ写真もその位置にシールドを装着しています。あ、でも河森正治版の設定画稿にはラッチがありませんね。まあ手で持つのが最も自由度が高いのでアニメ向きではあります。シールドを使ったアクションとかね。あぁ〜、しかしメカ好きな観客層にとってはフルバーニアンのコアファイターによる脱出だとかデンドロビウムから突然意表をついて分離して近接してきたドラッツェを切り払うステイメンとかそーゆー媚びた演出は自粛(?)されていたのかどーにも合点がいきません。コアファイターが作動しないとかいうのは致命的欠陥だし、I フィールドジェネレイターを失ったデンドロビウムに対してステイメンの分離をとめる為にビーム撃ち放題のガトーのノイエ・ジールがしがみついてくるのも不自然な気もします…ま、アニメ版の話はともかく、今回のフルバーニアンの前腕部のラッチですが、ステイメンのシールドマウントラッチと同型のもののようです。しかし前腕外側(ひじ側)にシールドをつけるなんて安彦良和超御大の漫画版のガンダム(スミマセン…実はよく知らないのです)みたいにひじを曲げてシールド下端を上向きにして防禦するってのと同じだし漫画映えはしても(防禦ポーズは)模型映えはしない気がします(バリエーション機を何機か並べるなら別ですが)。いや実際普通に立った人体の前腕は前に向いて曲がるのが普通であり、ひじ側につけたシールドなんてのはやはり安彦案のように使われるのが合理的であり、素立ちなら左前腕部外側のラッチにシールドを装着して前から見てシールド裏側を向けるというのもアリなわけですが…。パッケージ写真を参考に設定とは少し違う色分けでそれらしいデカールを貼ってそこそこきれいに仕上がったシールドだったので見えるようにしたいという気持ちもあります。肩のバーニア群ブロックさえ無ければ、ひじ側を外側に向けることで素朴にシールドを体側面に装着できるのですが。…と、発売されて久しい GFF のゼフィランサス陸戦用の場合、同様にラッチがあるのですが、シールドの方にアタッチメントがあり、前腕部外側のラッチに接続し90度まわって前腕部左側面にシールドがきて、さらに左手首で握るグリップ(握り手)があるというものでした。このアタッチメントを自作するなり流用するなりできればいいのですが、そーか、側面につけるのもアリか、という安易な根性で左前腕左側面にピンバイスで穴を開けてシールド裏側のマウント部と金属線で接合することにしました。肩部を避ける為に多少斜めになりますが、これで一応体側面にシールドが装着できました。ああ、あまりに安直すぎてほろりと泣けてきます。


俯瞰 (フカン)


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ロボット(メカ)の俯瞰をカッコよく描くのはなかなかに難しいもので、美しく整合性の取れたメカでもデザイナーの意図からズレていってアニメ的ディフォルメや有機的ラインに処理され、本来インダストリアルデザインを意識したメカニックデザイン設定などはその魅力が大部分損なわれることがよくあります(元が "どうやったら量産品としてつくれるのかわからない" "外観上は主要パーツなのになにをするものかわからない" といういい加減なデザインが横行している現状ではどうしようもないのですが)。
今回のフルバーニアン Ver. Ka. は、線がうねっている有機的な河森正治版設定画稿や、アニメ版のハッタリの利いた人型兵器の迫力作画でもなく、しかしながら機能や象徴的な意匠までも変更することはなく、カトキマジックとでもいうべき直線の微妙なテーパーと緩いアールで構成された、『モビルスーツが本当にあったなら…』という妄想に対し容易に屈服させる説得力をもった造形物としてパッケージされたものと思えます。
フルバーニアンは肩パーツが水平一直線です。前後スイングさせて固定することもできません。第1次ガンプラブーム時にはコミックボンボンの作例記事によって日本全国のザクIIの肩が一斉にハの字になったという故事がありますが、じゃあ当時のカッコイイとはどういうことかという定義を仮定すると、人間の様々なプロポーションのうちカッコイイと思われるものを MS に反映させるということだったのかなぁ。しかしそれらの手法が行き詰っていたところ、80年代末〜90年代に頭角を現したカトキハジメによる、変形の為に厳密な人型にこだわらない MS のプロポーションや、虚飾に満ちた鋭角的なデザインの独特な緩いテーパーへの置き換え、破綻を来さず立体化(模型化)を可能にするアイデアやギミック等は模型業界を席巻し、表向きはまっとうなモデラーであっても厳しく問い詰めると『カトキ版ならなんでも欲しい…』などと吐露する者が後を絶たず、当局は ver.Ka ガンダムのプラキットをリリースするなど、それなりの対応をしています。実際のところ一時期あった反カトキ派(というか反センチネル派)のうち、バンダイは手のひらを返して迎合して次々と新キットを出し、ホビージャパンも恥も外聞もなく利権目当てで平気でセンチネルのプラキットの作例ムックを出したりしました。無論モデルグラフィックス誌のカトキ版作例と比べるのがかわいそうなほどダサい作例ばかりなので買ったことはありませんけれども。

可動戦士並の関節自由度があるキットや山口式可動のようなポージングが僕に創出できるのならカッコイイポーズにしようとか目論んでもおかしくないのですが、それでもカタチがこれだけ魅力的ならば素立ちが最も似合うと思ってしまいます。仮にポーズをつけるにしても肩部は(このキットには珍しく)ボディから突き出た四角いダボにフレームパーツをはめて、そのフレームの上に肩アーマーをかぶせ(ダボなし)、下に二の腕を接続する(ダボなし)というパーツ構成なので改造・新規パーツ製作をしないことには肩は自由に動きません。肩がまったく動かないというだけでほとんどのポージングは不可能になります。二の腕は曲がると不自然ですが接続金属線を軸に回転は可能です。ひじとひざは角度を決めてから金属線接続すれば曲げた状態にすることができます。足首はすね下端と面接合する筈ですがかなり隙間が浮いているので金属線をスペーサー代わりにします…だからつま先をのばすことはできます…足首のフェアリングを追随させる改造は必要ですが。股関節は単にダボに金属線の軸を通すだけなので自在に調整できます。スカートはフンドシのどこにつけるか現物合わせなので上体と脚部を仮止めして位置決めし、リアスカートは単にフンドシに固定接着、フロントスカートはフンドシを貫通する金属線を軸に無意味に可動、サイドスカートはフンドシ上面腰部板状パーツが無いのでフンドシとの接点が無く脇腹から生えていてもおかしいのでフンドシの股関節上部を貫通する金属線の先っぽに浮かせてつけました。つまり無改造ではパッケージ写真程度のポージングが精一杯なのです。

アオリ?

[左] 上方からの俯瞰ショットが続いたので、三脚を低くしてみました。視点を変えると通常スケールのガンプラとたいして変わらないようにも見えますね。そうそう、カトキ版だったらブースタポッドはもっと下げた位置にすべきでした…。

[下] new カメラの接写でどれだけ寄れるのか試してみました。光学3倍のテレ側では被写体から 50p(5メガの最高画質なのでデジタルズームは使用不可)、ワイド側では10pまで寄れるのでピントの合う位置まで被写体に前進したのち、若干テレ側に少しずつ寄せていってピントが合うことを確かめて、(レリーズなんて無いので)ブレ防止にはセルフタイマーを使って撮影しました。P10 はなぜかファインダー横の赤ランプがチカチカ点滅してセルフタイマーが起動していることを教えてくれるので重宝します(普通はセルフタイマーを後ろから見る人はいない筈)。ともかく光学ズームレンズの分だけ寄って撮れることがわかりました。目はやはりひさしの影ですがクリアグリーンと赤がぼんやり見えます。実はあんまりくっきり写ってしまうと非常に気まずい塗装状態なのですが。


最後になるので本音をひとつ。姿勢制御用のバーニアを満載したフルバーニアンは、モビルスーツの最大の利点であるところの作動肢の運動反作用による姿勢制御、 AMBAC : Active Mass Balance Auto Control
(能動的質量移動による自動姿勢制御) という人型兵器の有効性の立脚点を、ある意味反故にしてしまっていると考えられます(かつて全身に多数のバーニアを装備したモビルスーツが存在したことはさておいて…)。バーニアポッドが AMBAC 作動肢にもなるとも考えられますが、ジムカスタムやジムキャノンII 等と同様の機体規模で約2倍のバーニアスラスターを吹かし続けていれば短時間でプロペラントが底をつくことは明白です(バーニアポッドそのものがプロペラントタンクではある筈ですが)。ガンダム世界の史実として、モビルスーツ開発黎明期にジオニックの提示した AMBAC 装備の機動兵器に対して MIP(エムイーペー)のバーニアのみ装備した機動兵器がプロペラント消費量、すなわち作戦行動時間において大きく水を開けられて敗退しているのです。現実の世界において同様の兵器体系が形成されるとは考え難いですが、少なくともガンダム世界においては人型モビルスーツが戦争の主役である為に厳守すべき約束事だった筈です。フルバーニアンのオリジナルデザインの河森正治氏は、このへんの約束事を初めて明確化し提示した「ガンダムセンチュリー」(みのり書房)の重要な科学考証スタッフ兼イラストレーターのひとりだった筈なのですが多忙故に過去の仕事はすっかり忘れ去っているのかもしれません。ゼフィランサスにブースターポッドを追加するというコンセプトは同氏デザインの VF-1 バルキリーのスーパーパックと同様にも思えますが、VF-1 の追加ブースターは本体の反応エンジンの二次元ノズルではなくお椀形ノズルの核パルスエンジンというプロペラント容量をあまり気にしない強力無比な別次元の推進機構なわけで(当然艦内や大気圏内では危なくて使えない)、U.C.0083 という未だに一部の熱核ロケットエンジンと多数の化学ロケットエンジンが混在する世界においては実に安易なデザインワークといえるでしょう。たぶん演出側から『今度出てくる改修型の空間戦闘用ガンダム1号機はスーパーバルキリーみたいなのにしてくれません?』とかなんとか無茶な要請があったんじゃないかにゃ〜、とか思ったりもしますが。




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